ラジオ広告は四半世紀クラスでの“薄く長く”がないと効果がないと思った

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AdBlock Radio – 機械学習+ユーザー投稿でラジオ番組の広告やトークを飛ばす

記事中でも言及されているけど、
ラジオCMの単価は低い。
そして、単発で頼むとクオリティーも低い。

引き継ぎ案件の一つでラジオCMの制作というのがあり、
広告代理店とやり取りしてオンエアにこぎつけた経験があるのだが、
正直言って、その時のクリエイティブがひどかった。

しょうがないからコピーを書き直して、
(正確には数案私が書いてコンペに混ぜて、それて選ばれた)
それで制作してもらった。

それじゃ、どうやってラジオCMで効果を出すかというと、
とにかく長く、とにかくたくさん出稿する。
そして、決まった時間に流れる
というところでリスナーに浸透させる広告なのではないかと考える。

耳に染み込んだあとに、意味が理解される

ラジオCMは、正直、番組の風景の一つみたいなものだ。
その言葉が一発で理解されることはなく、
なんとなく、このコーナーのあとにはこういう音が流れる、
という風景になってからが本領発揮になる。

お店であれば店頭で、
他のチャンネルで露出するときのBGMとしてでも
ラジオCMの素材を混ぜれば、
聞いたことがある、という無意識の接点を見つけてもらえる。

昔のマーケティングではアイドマなんて言って、
お買い物をする前に記憶の中に残ってなきゃいけない、
なんてことが書いてあったのだが、
今のお客さんは情報過多だから、覚えちゃいない。

けれども、どっかで馴染みのあるもの、
どっかで触れたことがあるもの、
その人の生活圏の中にちょこっとでも顔を出したことがあるもの、
とかは、まだまだアイドマが通用したりする。

そうした瞬間に、
毎日の生活とその商品の共通点を
お客さん自身が感じ取って、
とりあえず手にとってくれるところまでは行く。
(買ってくれるかどうかは別)

SEM的な広告とは真逆

瞬間瞬間で勝負するSEM界隈,
とくに、機械学習を交えてのものなどは、
直近数時間の反応のみで広告が変化していくので、
薄く長くというのは存在しない。

存在することもあるだろうけれども、
それは、WEBだけでない文脈での
お客さんと企業との共有経験がもとになり、
それでその様になるのではないかと考える。

ラジオCMは聞かれていないという
大前提をしっかりと意識して、
薄く長くをやっていくと、
それがいつの間にか生活の一部に染み込み、
そして、お客さんを引っ掛ける大きな釘になる。

この特性の違いは、事業としては致命的だが、
なにかアナログな広告メディアを観察するときの
ヒントになるんじゃないかと思った。